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オムライスを食べ切れなかった話

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学生の時の話ですが、大学の近くにオムライス屋さんがあったんですね。そこは学生街の店によくある「SもMもLも、値段がいっしょ」な店だったんです。僕は何回かLに挑戦したんですけど、食べ切れたことは一度もなかったんですね。

ある日、ものすっごくお腹が空いてる時があって。「今日ならあのオムライスを食べ切れるかもしれない」と思って、友達誘って行ったわけです。そして、Lのオムライスを頼んだんです。

僕の中では「食べ切れないオムライス」としてのイメージが固まってたんで、頭の中の妄想ではだいぶでかくなってたんですよね。久しぶりの挑戦ということもあって、大きさを忘れてたけど、とにかく大きいってことしか頭になかったんですね。

で、来たんですよ。Lのオムライスが。でも、「あれ? なんか小さくないかな?」って思ったんですよ。

妄想ではだいぶでかいイメージだったんで、それと比べると小さく見えたんですよね。いつもMを頼んでるから、もしかしたら言い間違ったかもと思って、店員に「これLですか?」って聞いたら「Lですけど」って言ったんですよ。まぁ、そういうんならLか、と思って食べ始めたんですよね。

で、半分くらい食べた時かなぁ。ふと実感したんですよね。「これ、Lだな」って。

スプーンで、オムライスの頂上からお皿にかけてごはんを崩して食べるんですけど、途中からまったくコメが減らないんですよね。「このご飯が減らない感じ、Lだわぁ」って思いながら食べてたんですよ。

そうして食べてた時に、さっきの店員が申し訳なさそうな感じでやってきたんですよ。小さなオムライスを持って。

僕が「これLですか?」って聞いたのがクレームだと思われたみたいで、お店の人が親切にも足りない分を補う小さなオムライスを作ってくれたんですよ。

気持ちは大変ありがたいんですけど、もうこの時点で僕は「これはLだ」って思っちゃってるんで、もう1個来ても無理なんですよ。「オムライスwithオムライス」ってどんな状況ですかと。

最終的には、一緒に行った友達に食べてもらったんですけどね。もう二度とこの店のLに挑戦してはいけないな、って思ったんですよね。

(888文字)

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