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「飛び出し坊や」がおっさんだったら

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「飛び出し坊や」とは、「子どもが道路に飛び出してくるかもしれないから注意しなさい」ということをドライバーに知らせるための看板のことだ。子どもがよくいそうな、通学路や公園の近くに置かれている。看板の種類は豊富で、だいたいは子どもが飛び出そうとする絵が描かれている。絵と同じ形に切り取られていることが多い。「飛び出し注意」という文字が書かれていることもよくある。

「飛び出し坊や」は正式名称ではない。というか、正式名称はない。「飛び出し小僧」とか「飛び出し君」などと呼ぶ人もいる。

とび太くん誕生秘話 | Mahorova

この記事によると、飛び出し坊やが誕生したのは、1973年(昭和48年)。高度経済成長期に車の交通量が急増し、子どもの飛び出し事故が増えたことから作られたそうだ。初代の飛び出し坊やには「飛出とび太」という名前がついている。キャラクターの名前にはよくあることだけど、よく言えばわかりやすい、悪く言えば安直な名前だ。すごく、飛び出してきそうである。

飛び出し坊やが誕生して、40年以上たつ。昔は坊やだった男の子も、40年もたてば、いいおっさんである。

もし、この「飛び出し坊や」がおっさんだったらどうなるだろうか。「飛び出しおっさん」である。「飛出とび太」という名前で今まで生きてきて、しょっちゅう飛び出してきたものの、ドライバーたちの危機回避能力で今まで生き延びてきた。しかし、おっさんになった今、「飛出とび太」は再び飛び出そうとしている。

すると、どうだろう。看板に書かれた「飛び出し注意」の文字が、なぜだか「飛び出しおっさん」に向けられたものであるような気がしてくる。今まではドライバーに「注意しなさい」と言っていたはずなのに、おっさんに向かって「飛び出すんじゃないよ」と注意しているように読めてくる。そして、同時に、「飛び出して死のうとしてはいけない」というメッセージを、世のおっさんたちに伝える看板へと、役割が変わる。

メッセージは違うかもしれないが、坊やであれ、おっさんであれ、事故による悲劇を避けたい気持ちは同じだ。まー、飛び出しおっさん看板は見たことないけど。

(888文字)