数学で、当たり前のことをわざわざ証明させることについて
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昨日の「偶数+偶数=偶数」じゃないですが、中学の数学では「当たり前なことをわざわざ証明させる」ことがよくあります。「2つの三角形が合同であることを証明しなさい」みたいな問題、ありましたよね。「見たらわかる」の一言で終わるのに。
なぜわざわざ当たり前のことを証明させるのか。理由の一つに「証明問題のテンプレートを学ぶ」というのがあります。偶数なら2×整数と書くとか、三角形の合同ならこの条件を説明するとか。まずは簡単な問題で練習して、より難しい証明問題を解くときに、役立てるというのがあります。
これは「数学のため」に学ぶ、ということですが、別の視点、「社会に出たときのため」というのもあると思います。社会に出ると、「(自分には)当たり前なことでも、わざわざ説明しないといけない」場面があるんですよね。しかも、頻繁に。
例えば、「プランAとプランBなら明らかに前者だ」とか、「この方針では将来会社が苦しくなるのは明らかだ」とか、「この案で行くなら、予算は当然××万円は必要」とか。こういう自分では当たり前と思っていることも、プレゼンしろとか言われる。先輩とか上司とか役員とか株主とかから。で、わざわざエクセルでグラフ作って、パワポ作ったりすることになる。
ここでまず大事なのは、「何が前提で、何が結論か」を正しく認識することです。数学で当たり前なことを証明するとき、「結論を使って結論を証明する」みたいなおかしなことをする人がたまにいますが、それは結論が当たり前であるがゆえに、前提と結論がこんがらがりやすいからなんですね。まずは前提と結論を分けて考える、これが大事。
前提と結論の間を埋めるのに使っていいロジックは、数学では「定理」ですね。ビジネスには明確な定理っていうものはないですが、プレゼンを聞く人が納得できるもので埋めていかなくてはいけません。
まぁ、数学では正しいことを書けば必ず満点ですが、ビジネスで正しいことを主張したところで、「正論が聞きたいんじゃないんだよ」とかいう新しい宿題が出るところは違います。そこがあまりに違うことは、理系の皆さんは忘れてはいけませんです、はい。