欲望が技術に追いつかない
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数年前のことですが、一人暮らしを始めるときに冷蔵庫を買いに行こうと思いまして。で、その前に、いくつか条件を決めていたんですよね。
まず、僕は料理をしません。なので、そもそも大きな冷蔵庫は必要ありません。じゃあなんで冷蔵庫を買うのか、というと、基本的には飲み物を冷やすためです。水とかジュースとかアイスコーヒーとかですね。あとは冷やしておきたいチョコ系のお菓子とか。
そして、冷凍室付きであること。だいたいいつもアイスを食べるので、それを冷やしておくために、冷凍室が必要なんですよね。
以上です。冷蔵庫に求めていたのはこれだけです。この条件にあう冷蔵庫を電気屋に買いに行ったんですよね。
電気屋の冷蔵庫売り場には、どデカい冷蔵庫がたくさん売られていました。自分の身長より高いのとか、幅が広くて扉が両開きになってるものとか。いろんな機能もありました。自動で氷を作るものとか、脱臭機能があってにおい移りがしにくいとか、野菜がしおれにくいとか。
この機能スゲェとかって思うものもあったんですけど、「いるか?」って言われるといらないかなと思っちゃうんですよね。「使うか?」っていうと、たぶん使わないんですよね。そもそも僕が欲しいと思っていた機能に比べると、明らかにオーバースペックでした。
テレビで冷蔵庫の新商品CMを見ても、すごい機能だと思うことはあっても、自分にはいらないなぁと思うんですよね。キレちゃう冷凍とか料理する人にはすごく便利機能だと思うんですけど、冷やす食材がない僕としては…という感じで。
結局僕が欲しいと思っていた機能がついた冷蔵庫は、冷蔵庫売り場の隅の方の人影まばらなところでぽつんと売られていました。売っても大した利益にならない、ということなんでしょうね。たしかに安かったですし。
小さくて冷凍室付きというのは種類が少なく、ほとんど選択肢はなかったんですけど、結果的には自分の満足いくものが買えました。
技術力的にはまだまだすごい機能が生み出せるし、それを安く提供できるようにもなっていくんでしょうけど、「その機能が欲しい」という欲望の方がそこまで追いついてない感じなんですよね。