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試算結果の数字が独り歩きすることについて

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プレゼンや会議で、他の組織が出した試算結果が使われることがある。新聞でも、どこかの研究所が出した試算結果を使った記事が書かれたりする。試算をした組織の目が届かないところで、その試算結果が使われることを「数字が独り歩きする」なんていうことがあるけど、これはやっぱりその結果を使う人が悪いと思う。

試算結果、シミュレーション結果は、試算をする人に大きく依存する。どのパラメータを使うか、初期値をどうするか、境界条件をどうするか、各パラメータ間の関係をどう設定するか。試算をするにはたくさんのことを決めないといけない。しかし、正しい決め方というのはない。

経験から、「このパラメータが重要そうだ」とか「このパラメータがこうなると、試算対象はこういう風に変化する」ということはわかってくる。しかし、その「経験からの学び」は、各人や各組織に依存している。

また、試算に関するすべての情報が経験から得られるわけではない。必ず説明できない要素は出てくる。それに、基礎的なパラメータについては、自分たちで予想しなくてはいけなかったりする。経験から得られない要素には、恣意性の入る余地がかなり大きい。

あまりに現実離れした試算結果が出たとする。このとき、普通は「すごい未来がやってきそうだ!」とはならない。「パラメータがおかしいかも」とか「あの式の係数は大きすぎたか」みたいな感じで、設定が見直される。そして、受け入れ可能なレベルに落ち着いた時点で、試算結果は公表される。見直されずに出した結果は「ありえん」と一蹴されてボツになるので、このような修正がなされることは多い。

つまり、試算の設定には恣意性が入る要素が多分にあるし、その結果が調整されることもあるということだ。自分たちの主張があり、その主張にマッチした試算を作ることもある程度は可能だ。

なので、本当は外部組織の試算結果を利用するときは、どうやって試算したかまでチェックしないと使う意味がない。だが、ほとんどの場合そんなチェックはできないから、参考程度で使うべきだ。ただ、アンカリング効果もあるから、参考にした時点で判断に影響しちゃうんだけど。

(888文字)