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今と昔の「金がない」が意味するもの

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「金ならいくらでもある」。僕も含めてほとんどの人は、こんなセリフを一度も口にすることなく一生を終えていくわけですが、その逆の「金がない、金がない」というのは口癖のように言ってます。この「金がない」について、今と昔では、ちょっと意味合いが変わってきてるんじゃないかなと思うんですよね。

今も昔も「金がない」というのはみんなよく言ってましたが、バブルを経験したくらいの世代が言ってた「金がない」っていうのは、「子どもを大学に入れるのもお金がかかるし病気をした時もお金がかかる、老後も心配だし、もろもろ考えるとぜいたくする金がない」という意味に近かったんじゃないかと思うんですよね。普段使う金額に比べて給料は高く、貯金もできている。でもその貯金は将来の支出のために残しておくもの、つまり、今は使えないお金ということですね。だから、貯金はあるけど「金がない」。

しかし、最近の人たちが言う「金がない」は、「毎月の給料から今月生きていくのに必要な食費や住居費を引いていったら、ほとんど残らない。今を生きていくだけで精一杯」という意味に変わってきてる気がします。ぜいたくするカネがないどころか、貯金もたいしてできない、と。こっちは本当に「金がない」。

歳が離れている人たちが会話をしても、ここの認識はずれているような気がするんですよね。昔だったら、大学を出て就職をすればある程度給料は上がっていき、余裕も出てきたのかもしれない。だけど、今は大卒者が増えた一方、仕事量は減り、就職するのも大変だし、就職できても給料の上がり方は昔に比べれば緩やかになっている。片方が「金がない」といっても、それがどの程度の金の無さなのかは、実感しづらいんだろうなぁ。バブル後に生まれた人がバブルのときを想像するのが難しいように、バブル経験者はバブル後に生まれた人の生活を想像するのは難しいんだろうね。

「老後を安心して暮らすためには、いくら必要か」みたいな記事が雑誌やネットで出ることがあるけど、その金額を言われたところで、その金額を貯められるわけじゃないんだよなぁ。給料から毎月最低限の支出しかしなかったとしても。

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