本当は難しい「ジュテーム」
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先日、ブリュッセルへ旅行に行き、小便小僧や小便少女を見たり、ヤクザ呼ばわりされたりしました。そのブリュッセルなんですが、言語はフランス語がメインですよね。
フランス語をまったく知らない日本人でも「ボンジュール」や「ジュテーム」は聞いたことがあると思います。意味もよく知られていて、それぞれ「おはよう・こんにちは」と「愛してます」です。この「ジュテーム」、短くて簡単そうな文章ですが、文法的には少しやっかいなんですよね。
フランス語も、基本的には英語と同じように、「主語+動詞+目的語」という語順になります。なので、「私は、すきです、誰々を」という順番になります。「私は」にあたるのが「Je」(ジュ)、「すきです」にあたるのが「aime」(エーム)なので、「Je aime 誰々」というのが基本の形です。
ところが、「誰々」のところ(=目的語)が代名詞になると、なぜか語順が変わるんですね。人の名前ではなく、「あなたを」になった瞬間に、「主語+目的語+動詞」という順番に変わります。「あなたを」にあたるのが「te」(トュ)なので、「Je te aime.」という語順になります。
さらに、特殊な変化が起きます。「te」の後半の「e」と、「aime」の最初の「a」のように、弱い母音のあとに別の母音が続くと、前半の弱母音が発音されなくなる、ということが起きます。英語でも、単語の並びによって音がつながったり省略されたりしますが、フランス語でもそういうことが起きるんですね。ただ、フランス語が違うのは、発音上の変化だけでなく、テキスト上でも変化する、ということです。
「te」の「e」は最終的にテキストからも消え、「te aime」がくっついて「t'aime」(テーム)となります。全体では、「Je t'aime.」(ジュテーム)、これが最終形態です。
学生のときに英語を勉強していたときは、「英語って難しいな」と思っていたのですが、第二外国語でフランス語を学ぶと「英語ってまだマシな難易度だったんだな」と変わります。
旅行していたときに、大学で学んだフランス語が活きる機会は全然なかったですが。