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経営者と研究者は「いい問題を作ることが仕事」という点で似ている

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僕は大学で数学を専攻していたんだけれど、学生として勉強することと研究者として研究することの大きな違いの1つに、「問題を作ること」があると思っていました。

学生も研究者も、数学的な構造や性質を調べてたり考えたり計算したりしていて、端的に言えば、「問題を解こう」としています。しかし、学生の場合、その問題は「与えられたもの」であり、研究者の場合は「自分で設定したもの」というケースが多く、ここに大きな違いがあります。

与えられた問題は、誰かが解けた問題であり、たいていは、答えがあることが保証されています。しかし、自分が設定した問題の方は、まだ誰も解いたことがなくて、そもそも解けるのか、答えがあるのか、が分からないことも多いです。

一方、会社で働いてみると、社員と経営者がこの関係に似ていると感じるようになりました。社員の場合は、与えられた仕事をすることが多いですが、経営者の場合は、「こういう問題を解決したい」と考えて、自分で問題を設定することも仕事だと思います。

経営者は、いい問題を作る必要があります。「これがあると便利だ」とか「これがなくなればうれしい」などとみんなが思う問題設定をしないと、たとえそれが解決できたとしても、誰も買ってくれないでしょう。また、「自分も関わってぜひ解決したい」とか「難しいけどやりがいがありそう」という問題でないと、一緒に働いてくれる人も見つかりません。「需要がありそう」とか「儲かりそう」という問題でないと、出資者が集まりません。問題を解決することも仕事ですが、一番はじめの仕事は「いい問題を設定すること」だと思います。

研究者の場合も、あまりに独りよがりな問題設定だと、共同研究者も集まらないだろうし、予算もつきにくいだろうし、論文を読んでくれる人も少ないでしょう。経営者に比べれば、問題設定を「自分寄り」にできるとは思いますが、やはり、たくさんの人が魅力を感じるような問題設定であることは求められると思います。

経営者と研究者は、外見的にはあまり似ていないようにも見えますが、「いい問題を作ることが仕事」という点ではすごく似ているように思います。

(888文字)

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