ピッチャーがつぶされるとどうなるか
🎃
高校野球の地方大会の決勝で、エースを出さずに試合をし、負けて甲子園にいけなくなってしまった、というニュースが少し前にありました。地方大会でのピッチャーの人繰りを考えれば、決勝で出場できるように調整する方法もあったのかもしれませんが、それだともっと前に負けてしまっていた可能性もあります。決勝の時点では、あぁいう結論を出すのが一番よかったんでしょう。
世間からも注目されていたエースだったので、このニュースはいろいろな人が言及していました。監督の判断は、ピッチャーの肩や肘を守るためのものでしたが、批判の声が多かったそうです。選手のことなんて考えず、ただ娯楽のために見ているだけなら、批判したくなるのかもしれないですね。
この判断は、もちろん、ピッチャーの体を守るため、ピッチャーの将来を守るためのものでもありますが、一方で、監督や将来の野球部を守るためにも貢献していると思います。
もし、ピッチャーに無理な回数を投げさせてつぶしてしまったら、しかも、今回のように、世間からも注目されているピッチャーをつぶしてしまったら、今後は、その高校の野球部へ志願するピッチャーは減ってしまうでしょう。誰だって、つぶれてしまうのはイヤですからね。そうすると、ピッチャーが集まらなくなります。結果として、少ないピッチャーに、より大きな負担が行くことになってしまいます。
時間がたっても、リトルリーグや中学校の野球部の指導者が助言することもあるでしょう。なかなか風化されません。監督が変わるなどでもしない限り、いいピッチャーがとれない状態は続いていくでしょう。ピッチャーがよくないと、必然的に、勝てる確率、甲子園へ行ける確率も下がってしまいます。
「学生時代はただの通過点、卒業後も選手として活躍していくんだ」という考え方が、最近は広がってきているようです。高校野球だけでなく、箱根駅伝などの他のスポーツでも増えています。無理な連投をさせるのは、時代の考え方にもマッチしなくなってきています。
酷使しないことは楽をすることではありません。酷使でつぶされてしまって短命になるリスクを避けるためのものでしょう。