「読みたいことを、書けばいい。」を読みました。
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これを読みました。
副題・帯には「人生が変わるシンプルな文章術」とあるけれど、文章を書くためのテクニックではなく、考え方が書かれています。
世間一般でよく言われている小手先のテクニックを片っ端から否定していくのは痛快です。たとえば、ターゲットの設定。ネットで文章を書いたことがある人なら、「ペルソナを設定して書くといい」みたいなテクニックを見たことがあるでしょう。こうしたターゲットの設定を、筆者は下品だと否定します。「射撃と文章を間違えてはいけない」と。
よく見れば、本のタイトルだってそうです。一般的には、「自分が書きたいことを書け」とか「読者が読みたいこと・知りたいことを書け」といわれることが多いでしょう。しかし、この本では、「自分が読みたいことを書け」と言っています。文章を書くのは大変だし、書いたところでほぼ読まれないんだから、せめて自分が読みたいと思うものを書いたほうがいい、と。
このように、一般的にアドバイスされている聞こえのいいテクニックをバサバサと切っていく場面が多いのですが、まじめに淡々と書いていくと、殺伐とした文章や嫌味のある文章になってしまいます。ところが、この本は多分にユーモアのある表現(たとえば先ほどの「射撃」とか)を用いることで、さらさらと読めるようになっています。
文章を書くテクニックをまじめに学ぼうとして手にとった人には、このユーモアが返って邪魔となり、ふざけているようにも見えてしまうのでしょう。まじめな人にしてみれば、10ページに15回くらいは肩透かしを喰らうかもしれません。アマゾンでの評価が割れているのも、このユーモアの受け取り方が主因だと考えられます。
ただ、まじめな人でも納得できるまじめな内容も書かれています。広告の話とか、エントリーシートの話とか図書館の話とか。所々に突然出てきます。ざっくりいうと、文字が小さくなるところは、まじめ成分が多めです。
ふざけているところだけでなく、納得できるところや考えるところもたくさんあるので、書くことに息苦しさを感じている人や堅苦しくない文章を読みたいという人にはちょうどいい本だと思います。