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888文字のブログです

過去に書かれたことなのに、今書かれたことのような文章

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ネットでこういう記事を見つけたのですが、なかなか興味深かったです。

 自粛という名の、法よりも強制力のある命令によって日本は動いている。  つまり、日本は法治国家ではない。  言うなれば、自粛国家なのである。 2007/8/25 | readymade by いとうせいこう

新型コロナが流行している中で、日本では自粛が徹底されています。海外では、「外出するために証明書が必要、違反者は罰金」という規定が設けられているところもあるし、「マスクは我々に与えられた『息をする権利』を奪うものだ」と言ってマスクを外す人たちやわざと感染するために「コロナパーティー」をする人たちもいます。「自粛」だけでは運用できないところも多いです。日本は大した保証も罰則もないけれど、多くの人が外出を自粛するし、店の営業も自粛するし、マスクもつけるし、うがいも手洗いもするし、密も避けます。みんなまじめに守っています。

というようなことを上の文章で言ってるのかなと思ったら、よく見ると2007年8月の記事なんですね。今のコロナのことを書いているのかと思ったら、かなり昔の記事です。「日本では放送禁止用語はなく、各局が自粛しているに過ぎない」という文脈で書かれた内容です。今の状況とまったく異なる文脈ですが、ばっちり当てはまっています。過去に書かれたことなのに、まさに今のことを言っているような文章で、おもしろいですね。

今回の自粛期間中は、自粛しない個人や店に嫌がらせなどの攻撃を行う、いわゆる「自粛警察」も見られましたが、これとかはまさに、自粛が法よりも強いことを表しているといえるでしょう。これは、たまたま今がそうなっているわけではなく、上の記事が今の環境とはぜんぜん別の文脈で語られていることからもわかる通り、日本では昔からそういう社会だったんですよね。

「自粛を要請する、という日本語はおかしい」といった意見も時々見かけましたが、たしかに日本語的にはおかしいです。みずから進んでするのが自粛ですからね。しかし、自粛は法よりも強い、日本を統治するためのものなので、他人に要請することもできてしまうのでしょう。

(888文字)