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【書評】人を動かす文章術

これを読みました。

本のはじめの部分に書かれている「文章は人を動かすために書く」は、言われてみれば当然ですが、忘れがちですね。書くこと自体がゴールになってしまっていることも多いです。心を動かす(納得とか感動とか)のか、体を動かす(行動とか)のか、ゴールはいろいろあるけれど、「人を動かすため」というのはわかりやすい目的です。

人を動かす文章を書くには、名文を書く能力は不要で、新しい認識を得る力が必要だ、と筆者は言います。違うものを結び付けたり、似ているものに違いを見つけたりして、新しい発見をする。そして、それを文章にすることで、読んだ人は何かがインスパイアされる。これにより、いい評価が得られる、と。

逆に、結論が一般的な内容で終わっていたら、評価はされません。凡庸な文章を書くことは「恥」だと認識しなければいけない、と筆者はかなり強い言葉を使っています。

こうした基本的な考え方は、本の前半部分(第二章まで)と最後の部分(第六章)で書かれており、さらに、方法論についても書かれています。文章をつなぐための練習方法や、文章を書くための手順、文章をより膨らませるための手法など、具体的な方法論が挙げられています。

この辺は参考になりましたが、中盤の部分はそれほど参考にはなりませんでした。

第三章の「ビジネスの文章力」は、ビジネスで書きそうな文書を取り上げていますが、ここは業界ルールの方が優先されると思います。第四章の「学生のための文章術」は、読書感想文・小論文・就活での自己PRが挙げられています。学生のときに読むと参考になったかもしないですが、それははるか昔。第五章のメールの書き方は、メールの使い方が全然違う(1対1で送ることがほとんどない)ので、ほとんど参考にならなかったです。

中盤でカバーしようとした範囲が広すぎて、全体的に浅くなってしまった印象があります。最後の部分(ワンランク上の文章力)をもっと充実させたほうがよかったでしょうね。ビジネスマンや学生に向けた、具体的な文章の書き方については、思い切って捨ててしまっても問題ないし、むしろその方がスッキリすると思いました。

(888文字)