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政治における科学的根拠、政治と科学の違い

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児童ポルノに関する法案で、興味深い質疑があったようです。「犯罪者を調べたら、児童ポルノを持ってた、だから規制」というのは短絡的、ちゃんと裏付けがあるか検証してからでないといけない、という考えがベースになっています。

きちんと検証されない仮説によって法律、規制をつくるべきではないと私個人としては思っております。 検証されない仮説によって法律、規制をつくるべきではない~自民党橋本岳議員・法務委員会質疑書き起こし

とても科学的な考え方です。犯罪と児童ポルノ所持に相関があるかどうかを調べるには、「犯罪者が児童ポルノを持ってるケースが多いこと」だけでなく、「犯罪を犯してない人が児童ポルノを持っていないケースが多いこと」も調べないといけません。その結果を受けて初めて、犯罪と児童ポルノ所持との相関が主張できます。また、両者に因果関係があるかどうかは、さらに踏み込んで検証しないといけません。

単なる妄想だけで話をすすめてはいけない、規制してはいけない。この考えには大いに賛成です。

そもそもこういう規制に消極的な立場をとること自体、難しいことだと思います。そこを感情的にならずにまじめに議論しようという姿勢は素晴らしいです。

ただ、一方で、「因果関係が検証できたものに限り、法律や規制に反映する」というのもやりすぎです。上で書いたことを検証するには調査が困難であり、実質的に不可能だと考えられます。そうすると、何年もこの問題が放置され続けることになってしまいます。また、科学的な根拠のあるものだけ、ってなると法律を作る人の仕事が軽くなり過ぎです。

暫定的な対処になるかもしれませんが、結論は出さないといけないんでしょう。リスクをとって方向性を決めて法案を作る、そして、説明責任を負う。そういうことになるんだと思います。根拠がなくても答えを出さないといけないというのが、科学と政治の大きな違いなんでしょう。

なお、個人的には、保有は原則可能、度が過ぎるものだけ禁止、でいいのではないかと考えています。全部規制で全部抑制は逆に危険だと思います。残念ながら、いい線引きのアイデアは持ち合わせてませんが。

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