数値にだけ目が行っていると、本末転倒になる
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何か抽象的で比較しにくいものを、数値化して比較できるようにしているものってたくさんあるじゃないですか。例えば、学力を表す偏差値とか、ビジネスマンの価値を表す年収とか、経済規模を表すGDPとか。こういうのって、「数値化できる部分を数値でわかりやすく表現しただけ」であって、全てを表しているわけではないんですよね。
例えば、偏差値はテストや模試の点数をベースに、学力を表しています。しかし、偏差値と学力が同じというわけではありません。テストや模試の問題には出ないけど、戦国時代の武将についてめっちゃ詳しいとか、日頃から近代文学を読んでるとか、教科書に載っていないような科学実験にも興味津々とか、こういうのも学力だと思います。しかし、偏差値には反映されないんですよね。偏差値は学力のすべてではないんですね。
しかし、試験に出ないことは無駄だとか、もっとテストでいい点を取るための勉強をすべきだという人がいます。テストで点を取ることこそがすべて、という考え方です。
確かに、目先の評価を上げることも大事です。しかし、点数にあらわれないものはやっても無駄だといって切り捨てるのは、間違っていると思います。本来は、興味のあることを学ぶのが、学力を伸ばす一番いい方法なんですよね。
数値にだけ目が行き、数値で評価されないものは不要だと考えれば、「これを勉強してもテストの点が上がらないから無駄」「この作業をしても給料が増えないから無駄」「この政策をしてもGDPが増えないから無駄」みたいな判断がされてしまうかもしれません。しかし、長い目で見れば、実は無駄ではなかったりします。むしろ、「あの無駄だと思っていたものこそが、実は強みだったんじゃないか」ということさえありえると思います。
数値で表現するということは、数値で表現できないものは捨てているということなんですよね。数値しか見ないということは、数値で表現できないものはすべて無視しているということです。まぁ、そういう考え方でいいんだったらそれでいいんですけど、「数値化できないものを無視している」ことは、ちゃんと認識しておいた方がいいと思います。