消費増税をしながら景気対策するのは変なの?
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数日前の日経新聞にこんな記事が出ていました。
政府は2015年度予算で、経済対策に使える予備費を1兆円程度計上する検討を始めた。15年10月に消費税率を10%に引き上げた際に、景気に悪影響が広がらないように機動的に経済対策を実施できるようにする。
これに対して、次のような意見が出ていました。
「本末転倒」の典型のようなお話しです。「消費税率を10%に引き上げた際に、景気に悪影響が広がらないように」ということは、「消費税率を10%に引き上げると景気に悪影響が広がる」ということを政府が認識しているということです。もし、そうなのだとしたら、消費税率を10%に引き上げることを見送ればいいだけの話しです。 消費税10%に備え景気対策に1兆円?~「政治は結果が全てなんです」という言葉を思い出せ
消費増税をしながら景気対策をするのは、おかしなことなのでしょうか。
一時的な影響だけ見れば、たしかに変な気がします。景気に悪いことといいことを同時にするのなら、両方しない方がいいじゃないかと。しかし、長い目で見れば、状況が違ってきます。
消費増税による税収増は、一時的なものではなく、恒久的なものです。国の主な支出である社会保障費は、今後も増え続けると考えられるため、それに見合った収入を確保する必要があります。消費増税はその解決策です。
しかし、消費増税の前後では、駆け込み消費とその反動が起こります。これは、過去の経験からもわかります。この反動が激しいと、数か月にわたって消費が落ち込み、反動減を乗り越えずに倒産する企業が出るかもしれません。時間がたてば消費は持ち直すと考えられるものの、その前に倒産してしまえば意味がありません。「一時的」な景気対策は、こういった消費増税後の影響をなだらかにするためのものです(一時的な政策が、再実施され続けて、結果的に恒久政策になることもありますが)。
消費増税と景気対策という2つの政策は、その効果の時間軸がまったく違います。同時に行うことは、なにも矛盾しないし、収支改善のためには必要だと思います。
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