「消極的な賛成」という立場
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何かのテーマについて、賛成派と反対派に分かれることっていうのはよくあります。ちゃんとした理由をもってどちらかの立場をとるという人もいますが、中にはそうでない人もいます。「基本的には反対なんだけど、他に案が思いつかないからしぶしぶ賛成」とか「ベストではないけど、他の案はもっとダメだからとりあえず賛成」というような立場。こうした「消極的な賛成」という立場の人も、世の中にはたくさんいると思うんですよね。
賛成派と反対派が分かれて議論しているときに、この「消極的な選択」をした人たちをどちらかの派閥に入れると、まぁ話がややこしくなります。反対派は「この案にどんなデメリットやリスク、コストがあるか、そしてそれらがいかに受け入れがたいものであるか」を声高に説明しますが、そんなことはたいていの「消極的な賛成派」は知っています。賛成派は「賛成してるんなら、もっとこの案のメリットに同意しろよ」と言ってきますが、消極的な姿勢で賛成している人にそんなことはできません。結果的に、どちらの派閥からも叩かれてしまいます。
「消極的な選択」を採用した場合、たいていの行きつく先は「現状維持」なのでしょう。これは決してダメなわけではなく、一つの現実的な解だと思います。積極的に賛成か反対の立場をとる人たちのエネルギーは強く、現状を変えるには必要不可欠なものです。しかし、その強さがかえって極端な考え方や発言、行動に発展していってしまう例もあります。視野が狭くなり、本来はなんのために考えている問題だったかを忘れ、相手の派閥をつぶすことが最優先となってしまうこともあります。案が採用されれば、現実の世界に適用されていくわけなので、本当に見ないといけないのは相手ではなくて現実です。
「消極的な選択」は無関心から生まれることもあります。しかし、さまざまな選択肢を検討して「消極的な選択」を採用する場合には、それは冷静に現実を見つめて出した落としどころなのかもしれません。そうした主張は一般的には"おもしろくない"のでテレビでもネットでも話題にならないですが、「消極的な選択」も重要な立場の一つだと思います。