必要なものがあることと不要なものがないこと
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「必要なものがある」というのは、言うまでもなく、重要な条件だ。最低ラインをクリアするためには、この条件が満たされていないといけない。これに比べると「不要なものがない」というのは、重要度が劣るかもしれない。不要なものがあってもいいし、なくてもいい。必要なものさえあれば、「不要なもの」については、本来はどうでもいいはずだ。しかし、状況によっては、「不要なものがない」というのも、同じくらい重要な場合がある。
不要なものがたくさんあると、必要なものを見つけるのに時間がかかってしまう。必要なものがあったとしても、探すのに時間がかかりすぎてしまえば、ないものとみなされることだってある。せっかく必要なものを用意したのに、見つけられずに終わるのは不幸でしかない。
なので、誰かが「不要なものをまとめて捨てよう」と言う時期がやってくるかもしれない。しかし、「不要なものを捨てる」というのは、時間とともにハードルが高くなっていく。
それは、「不要かどうかの判断が難しい」ことにある。常に必要だからそこにあるのか、たまに必要だからそこにあるのか、今は必要ないけど何かあったときに必要だからそこにあるのか、必要なものを作るときの残骸としてそこにあるのか、昔は必要で今は必要なくなったけど捨てる機会がなくてそこにあるのか。いろんな事情があってそこにあるはずだけど、その事情がすべてわかるわけじゃない。
特に、「たまに必要」という場合はやっかいだ。常に必要なら、捨てた瞬間に問題が発生するが、たまに必要なものは、しばらくは平穏だけど突然問題が発生することになる。なので、「不要」と判断して捨てるのはすごく難しい。時間がたてば判断すべきものが増え、手に負えなくなる。
だから、はじめに、できる限り「不要なものがない」状態にするのが一番いい。既存のものに必要なものを追加する場合も、不要なものを追加しないことはもちろん、不要になったものをついでに削除しておくことも重要だ。
現時点においては「必要なものがある」ことが最も重要だけれども、将来のことまで考えると「不要なものがない」ことはそれ以上に重要かもしれない。