スマホがわたしにくれたもの 日常を写すカメラ機能
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職場にて。スマホで書類を撮影してる人がいたので、「何をしてるんですか?」と聞いたら、「去年どう書いたか、いつもわからなくなるから、こうして写真で撮っておくことにしたんだ」と。撮っていたのは、年末調整の書類。確かに、あの書類は去年どう書いたか、毎年見たくなる。家族が増えたり、家を買ったりすると、急に複雑になるし。僕は毎年コピーしてるけど、写真でもいいと思う。
昔、カメラを使うのは、非日常を写すときだった。旅行に行ったときとか、正月に親戚が集まったときとか、何かイベントがあったときに、記念に撮影するものだった。そのときも、使うのは「誰かのカメラ」であって「自分のカメラ」であることは少なかった。修学旅行のときは、写真屋のおっちゃんが同行してバシャバシャ撮るので、自分でカメラを持って行った記憶はない。
大学生になって、使い捨てカメラを使うようになった。ただ、枚数が限られてると、今写真をとるべきか悩んでしまう。数日間の旅行に行ったとき、「最後の日に枚数が残ってなかったらどうしよう」と思って保守的にやってると、最後の日に大量に余ってたりする。「あれも撮っておけばよかった」と後悔したり、残りを消費できなくてなかなか現像できない、ということもよくあった。厳選して撮ったわりに、後で見てみるとしょうもない写真であることも多かった。
だから、携帯電話にカメラ機能がついた当初は、僕の中では「要らない機能の一つ」と思ってた気がする。今までろくに使ってなかったんだから、これからもどうせ撮らないだろう、と。
しかし、カメラ機能は、思ってた以上に使うようになった。おいしそうなご飯を食べるときに、カシャ。面白いネタを街で見かけたら、カシャ。メモとして残しておきたいと思ったら、カシャ。今の僕のスマホは、写真のデータでいっぱいだ。
大量に撮れる、すぐに捨てられる、拡大できる、加工できる、簡単に他人に見せられる。そして、いつも持っていられる。携帯電話・スマホによって、カメラは「非日常を写すために、わざわざ持っていくもの」から「日常を写せる、いつも持っているもの」になったんだと、今さら再認識した。