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【書評】強いチームはオフィスを捨てる

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リモートオフィス導入で成功した企業「37シグナルズ」。この創業者ジェイソン・フリードが書いた本「強いチームはオフィスを捨てる」。

リモートオフィスを採用するメリット、導入反対の声に対する反論、うまく導入するためのポイントなど、幅広く書かれている。随所に挟まれる挿絵も、批判的で面白い。が、これを読むと、やはりリモートオフィス導入には高い壁があるんだな、という思いが強まってしまう。

リモートオフィス導入に対し、経営者や管理者はこう言って反対する:「部下がさぼるかもしれない」。これに対し、「部下を信用できないのは、採用やマネジメントの失敗であり、リモートオフィス以前の話。むしろ、部下が働き過ぎないことに注意すべき」と書かれている。

また、労働者側が抱く不安には次のようなものがある:「誘惑に負けそう」「会社での存在感が薄まりそう」。本書では、前者に対しては「家の中に仕事部屋を作ったり、カフェや図書館や公園などで仕事をやってもいい。それでも誘惑に負けるなら、仕事が面白くないということだろうから、転職すべきなのでは?」と反論する。後者には「会社での存在感は、仕事の成果で示すべきだ」と主張する。

つまり、この本には、「各社員が自分の仕事を面白いと感じていて、きちんと結果の出せる人間たちだけで構成されている、そしてそれをお互い信用しあっている」という大前提があるのだろう。もちろん、こうあるのが理想的だが、生活のために面白くない仕事をしている人もいるし、能力の低い人だっている。この前提を満たしている企業が、世界に、そして日本にどれくらいあるだろう。

もともとこの会社は、創業時からリモートオフィスを導入している。この話自体に、大きな生存者バイアスがかかっているのではないか。やはり、会社・職務内容・チームを選ぶ話だと思う。

本の後半では、この企業での取組事例も多く紹介されている。例えば、社員全員が会社のクレジットカードを持っていて、経費申請なく常識の範囲でカードを使えるようにし、無駄な承認プロセスを排除している、とか。こうした事例が参考になる時代はやってくるのだろうか。はたして。

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