この定義なら、健康な人なんてこの世に1人もいないんじゃないか?
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世界保健機関(WHO)の憲章では、「健康」は次のように定義されています。
Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity. 健康とは、病気ではないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが 満たされた状態にあることをいいます。 | WHOを知ろう | 公益社団法人 日本WHO協会
えー。そんな人いますか? 「社会的にも満たされた人」ってどんな状況ですか。
理想的にはそうかもしれないけど、これが健康の定義だよと言われると、健康な人なんてこの世に1人もいないんじゃないか、という気がしてきます。つまり、ゴールならわかるけど、ベースではないだろう、っていう。
上は、日本WHO協会の仮訳ですが、各国代表がこの憲章に署名した1946年では、次のように訳されて官報に載っていました。
完全な肉体的、精神的及び社会的福祉の状態であり、単に疾病又は病弱の存在しないことではない。 WHO憲章における「健康」の定義の改正案について
「完全な社会的福祉の状態」っていうと、上の訳「社会的に満たされた人」と少しニュアンスが違ってるように思うのは僕だけでしょうか。
2つ目に引用したサイトでは、この「健康」の定義について、改正案が出されたことが書かれています。"state"の前に"dynamic"を入れ、"mental"の後に", spiritual"を入れるという案です。
「スピリチュアルが満たされた状態」まで入れると、いよいよ意味も分からなくなり、ハードルも上がりすぎるわけですが、「人間の尊厳の確保や生活の質を考えるために必要な、本質的なもの」という意見があって提案されたようです。
この案は総会提案されますが、「WHO憲章における「健康」の定義の改正案のその後について(第52回WHO総会の結果)」によると、現行の憲章で問題がないことから、採択見送りとなったようです。
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