ネットでは好きなだけ書けるが、好きなように読まれてしまう
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ネット上では、好きなだけ文章が書ける。
そもそも、文章を発表する場所を、自分で用意することができる。自分でサイトを作ってもいいし、ブログサービスを提供しているところでブログを作ってもいい。掲示板やSNSを使うこともできる。
場所を用意した後は、好きなだけ文章を書くことができる。1文でもいいし、1万文字書いてもいい。今日だけ書いてもいいし、たまに書くだけでもいいし、毎日書いてもいい。サービスによっては文字数制限もあるが、投稿を複数に分けて行うこともできるので、基本的には何文字だって書ける。だから、本のように「紙面の都合上、書くことができない」なんてことはないし、プレゼンのように「時間の都合上、省略しないといけない」なんてこともない。書こうと思えば、好きなだけ書ける。
ただ、これは「書ける」というだけで、全部読まれるとは限らない。いやむしろ、全部読まれることは少ない気がする。本を買えば数百円とか数千円かかるが、ネットならタダだ。しかし、本でもネットでも、100文字を読む時間はほとんど変わらない。自分の書いた文章を届けるコスト(印刷代とか配送代とか)は下がっても、その文章を読むのにかかるコスト(時間)まで下がるわけではない。
好きなだけ書けるネット上で「誤解が無いように、知っていること・わかったことを全部書くぞ」と思って書いたとしても、ほとんどの場合、その文章は斜め読みされてしまう。長ければ長いほど、部分的にしか読まれない。結果的に、誤解が生じてしまいやすい。
しかも、ネットでは、その誤解は拡散されやすい。固定読者以外の人が読んだ場合は、斜め読みされる割合が増え、さらに誤解が広まる。書いた文章をすべて読むのは時間がかかるから、全部を読んでくれる人は少ない。なので、正しく読んで「それは誤解だよ」と指摘する人は少ない。
誤解がないように懇切丁寧に長い文章を書いた結果、斜め読みされるリスク、誤解を生むリスクが高まってしまう。
ネット上では、好きなだけ文章が書ける。しかし、誤解を生まないようにするためには、結局、短くて簡潔な文章を書いたほうがいい、という結論になるのだろう。