世界はなぜ鳩時計を受け入れたのか
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鳩時計は、特に変なものだとは思われていないけれども、よく考えてみると変である。一時間に一回、時計から鳩が出てくる。何のために? 出てきて時刻の数だけ鳴く。何のために? なぜ鳩を使う必要があったのか、考え出すとわからない。そうしてる間に、また鳩は帰っていく。あの時計の中に。
鐘で時刻を知らせる、という発想なら、わかりやすい。鐘の音はよく響くので、たくさんの人に時刻を知らせるにはよいツールだ。しかし、鳩は違う。本当の鳩は、鳴き声が響き渡るわけでもないし、一時間に一回鳴くわけでもない。本当の鳩は、「ポーポーポッポー、ポーポーポッポー」と鳴いているだけだ(感じ方には個人差があります)。
時刻の数だけ鳴く、というのもまどろっこしい。2時や3時ならいいけど、10時や11時頃になるとつらい。数えていられない。どうせ出てくるなら、何時か言ってくれるモノが出てきてくれた方が便利だ。例えばめざましくんのように。ただ、めざましくんは時刻を言うタイミングが変わることがあるらしいので、めざましくんはめざましくんで問題はあるけど。
なぜ鳩なのか調べてみると、鳩時計専門店「森の時計」のサイトへとたどり着いた。ここには、下のように書かれている。
実は、英語で鳩時計のことを 「Cuckoo Clock クックークロック」と呼びます。 クックーとは日本でいうところのカッコー、 その名の通り「カッコー時計」が正式な名称なのです。 森の時計の鳩時計コラム :: 「鳩時計はなんて鳴く?」
もともとドイツで作られたカッコー時計。ドイツではカッコーの鳴き声は金運アップと関係があり、縁起がいい。しかし、カッコーとは閑古鳥であり、日本では「カッコーが鳴く=閑古鳥が鳴く=客が来ない」ということで縁起が悪い。だから、日本に輸入されてきたときに、カッコーじゃなくて平和の象徴である鳩にしよう、となって、鳩時計になったというのが有力説らしい。そういわれれば、鳴き声はカッコ―にだいぶ寄っている気がする。
こうして、閑古鳥が鳴くことは受け入れられず、一方、時計から鳥が出てくる発想は受け入れられ、日本には鳩時計が広まっていった。