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地球温暖化と抜け毛

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テレビで地球温暖化の話題が取り上げられるときには、北極とか南極の氷が溶け崩れる映像が流れることが多い。巨大な氷の塊がドサッと崩れて海に落ちていくシーンは、やはりインパクトがある。温暖化が進んだから、氷が溶けちゃったんだな、と納得しやすい。

しかし、この映像の取り上げ方はミスリーディングだ、という指摘もある。氷は、もちろん溶けることもあるが、新しくできることもある。しかし、氷が新しくできるシーンというのは、なかなか撮れない。溶けて崩れていくシーンばかりがどんどん流されてしまう。

本当は、映像だけで判断するのではなく、氷の増減を数値で測ってみないといけないだろう。だけど、こうして映像で印象付けされると、なんとなく結論も歪んでしまいがちだ。特に、素人の目は簡単にだませるだろう。

一方で、抜け毛である。朝起きたら枕元に、髪をかきあげたら指と指の間に、頭を洗ったら風呂場に、抜け毛が見つかる。気づいたら、机の上に落ちていることもある。

子どもの頃には、まさか自分がハゲるとは思っていないので、世のハゲてる男性を無邪気にバカにすることもあるだろう。しかし、男性の場合、中学生くらいから、「この抜け毛の量は大丈夫なんだろうか」という不安と戦い始めるんじゃないかと思う。無邪気に笑っていたけれど、将来、自分も同じ運命になるのではないか、という恐怖。父親やじいちゃんの遺伝子が、自分の運命を決めてしまっている、という絶望。

こうした中で、たくさんの抜け毛を見ると、「この尋常じゃない抜け毛の量から考えると、ヤバいんじゃないか」という気がしてくる。しかし、ここでも認識にバイアスがかかっている。僕たちが見つけられるのは、抜けた毛だけだ。新しく生えてきた毛は、なかなか認識できない。

溶けた氷は見えやすいけど、新しくできた氷は見えにくい。それと同じで、抜けた毛は見つけやすいけど、新しく生えてきた毛は見えにくい。

本当は、抜けた毛だけを見ていても始まらない。しかし、抜けた毛だけが目立って認識できてしまう。新しく生える毛がどれくらいなのかがわからないと結局状況は把握できず、不安と戦い続けることになる。

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