全大学生にAIの初級教育はいらないでしょ
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これを読みました。
政府が策定する「AI戦略」の全容が分かった。人工知能(AI)を使いこなす人材を年間25万人育てる新目標を掲げる。文系や理系を問わず全大学生がAIの初級教育を受けるよう大学に要請し、社会人向けの専門課程も大学に設置する。 政府、AI人材年25万人育成へ 全大学生に初級教育 :日本経済新聞
IT分野に力を入れていくこと自体は、いいと思います。ただ、全大学生にAIの初級教育を受けさせるっていうのは、どうなんでしょう。全大学生にはいらないでしょ。
高校までの数学の内容を見ると、昔に比べて統計の比率が増えましたが、一方で、行列はなくなり、ベクトルも文系の範囲からなくなろうとしています。多変数を扱うためにはどちらも必須なので、こうした数学の内容も同時進行であわせてやるんでしょうか。やらないんだとしたら、そんな数学の基本的な内容を学んでない状態で、いきなりAIとかって言っても、消化不良になってしまうんじゃないかと思います。
ほとんどの人は、機械学習に関するプログラミングをするレベルには行かないはずです。作る人より使う人がほとんどでしょう。そうなると、大学生全員を対象にするのは非効率です。また、使い方を学ぶにしても、5年や10年のスパンで見れば、これからどんどんアプリケーション側が発達していくだろうし、すぐに陳腐化してしまいます。
それよりも、今、プログラミングを実際にしている社会人に対して、学び直しの機会を提供するほうがまだ効率がいい気がします。上の記事にも、社会人向けの専門コースについて書かれていますが、こっちに人を割くほうがいいんじゃないでしょうか。
今の段階では、教えられる人もそれほど多くはないのに、全大学生を対象にするとか、どういう計画なのでしょうか。オンラインで学べる環境を整備する、とかですかね。日本語に限定しなければ、今もすでにありますけどね。
ITの知識を持つ人材が不足するという予想は数年前からありますが、だからといって今から慌てて無茶な計画を立てても、意味がないでしょう。流行っているものに乗っかった、フワッとした政策だなぁという印象です。
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