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「ケーキを食べればいいじゃない」とは言ってない?

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これを読みました。

Did Marie-Antoinette Really Say “Let Them Eat Cake”? | Britannica.com

「食べるパンがなくて農民たちが困っている」という話を聞いて、マリー・アントワネットが「パンがなければ、ケーキを食べればいいじゃない」と言ったという有名な話がありますが、この話に関する記事です。英語では "Let Them Eat Cake" という言い回しになるんですね。

原文は "Qu’ils mangent de la brioche" であり、ケーキではなくブリオッシュという食べ物になっています。ブリオッシュは、卵やバターを使って作ったパンのことで、ケーキとは別物です。ただ、高級品・ぜいたく品であることには変わりないので、この違いによって発言の趣旨が変わるというものではないでしょう。ブリオッシュだと、ここまでこのセリフは浸透しなかったでしょうね。

問題は、そもそもこの発言があったのかどうかです。この発言に関する記述は、フランスの思想家ルソーの書いた「告白」という本の第6巻で出てきます。そこでは、「とある王女のこんな言葉を思い出した」という流れで、上のセリフが登場します。

つまり、どの王女の発言なのかは、書かれていません。しかも、ルソーがこの本を書いていたのが1767年頃で、マリー・アントワネットはこのときまだ10歳程度でした。「とある王女」は、マリー・アントワネット以外の人を指していると考えるのが自然でしょう。

また、「告白」という本は、歴史書などではなく、自伝です。そのため、この言葉自体が、ルノーの作った小話、創作の可能性もあります。

その後、ルソーの様々な本が革命家に影響を与えてフランス革命が起きますが、そのときにこの話が都合よく引用されたのでしょう。フランス経済が悪化していく状況で、浪費癖のあったマリー・アントワネットに対する不満が高まっていたこともあり、次第に「これは彼女の発言だ」とみんなが信じていったのでしょう。

状況が分かってない人を象徴する発言としては秀逸だから、納得してしまうよねぇ。

(888文字)

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