仕組債を売っていた人はどうなるか、あるいは、異動の役割について
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最近、仕組債という金融商品が話題となっています。
115行の仕組み債・ファンドラップ実態調査へ 全銀協: 日本経済新聞
ここでは、仕組債そのものについてではなく、仕組債を売っていた人がどうなるかを考えてみます。
仕組債は金融機関から見ると収益率が高く、多くの金融機関が販売していました。しかし、今回の金融庁などの対応を見ると、今後は仕組債の規模が縮小していくことは確定的で、関連部署の人員削減も予想できます。
日系の金融機関であれば、仕組債に関わってきた人を減らすには、他チームに異動させればいいだけです。大変は大変ですが、仕事がなくなることはないでしょう。しかし、外資の場合は、異動のシステムがないので、基本は解雇になります。
会社によっては、「他チームへ行きたい」と手を挙げるシステムがあるかもしれません。しかし、異動がないので、仕組債をやってきた人は、基本的にスキルセットは仕組債関連だけです。他の業務については知らないことも多いので、それだったら転職市場から探してきた方がいい、と判断されるかもしれません。社内であっても、他部署・他チームに行くのは簡単ではありません。
さらに不運なことに、今回のケースでは転職も大変です。どの企業も仕組債ビジネスは縮小する方向になるので、他社でも同じ仕事は見つかりません。ある一社だけが部門縮小するような状況では他社に行けるかもしれませんが、今回のように、商品ごと、ビジネスごと刺されると、難易度はかなり高くなります。
「問題のある金融商品を売っていたのだから、自業自得だろ」という意見もあるでしょうが、ここで言いたいのはそれではありません。異動の役割に注目したいのです。
ネットでは、日本の「異動」というシステムは、古くて害のあるものだと批判されることが多いです。もちろん、希望してなかった部署に配属されるというリスクがあります。一方で、異動には、即解雇にはならないというセーフティネットやスキルの多様化の役割もあります。
自分が携わってきたビジネスが縮小するという前提はあまり考えたくないですが、そういう場合には異動は保険の役割を果たしてくれます。