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システムとビジネスと人間のトリレンマ

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システム化すると完全に楽になると思ってる人がいるけど、実際にはそんなことはない。既存のビジネスをシステム化しようとしても、システムに乗らない部分は出てくる。そこは人間が対応しないといけない。

システムはロジカルだ。ビジネスもほぼロジカルだが、複数のロジックが走っている箇所を含んでいることもある。例えば、一部の顧客に向けた特別プライスとか、キャンペーンによる特殊な商品とか、イレギュラーな日に発生する例外事務とか。そういう例外や特殊対応をシステムに乗せるなら、一つ一つ地道に対応していくしかない。しかし、複数のロジックを実装すると、システムは複雑になり、コストは増える。件数や頻度が少なければ、人間が対応したほうがいいという場合もある。

「例外だけ人間が対応」というのは、システム移行当初はいいが、将来問題が発生するだろう。システム化して時間がたてば、基本がわかる人間は減っていく。基本がわからずに例外だけわかるというのは無理だ。例外案件は発生頻度が低いこともあり、対応ミスなどは増えるだろう。

例外を減らすためにロジックを減らす、つまり、ビジネスをシンプルにする、というのもたいていはできない。新しくビジネスを始めるならできるかもしれないけど、既存ビジネスを今からシンプルにするというのは難しいだろう。「柔軟性を持たせたい」「臨機応変に対応できるようにしたい」というのは、言い換えれば「ビジネスを複雑なままにしておきたい」ということだ。

「コストをかけずにシステム化したい」「ビジネスに柔軟性を持たせたい」「人間が完全に楽をしたい」これら3つがすべて満たされるのが一番いいが、現実には難しい。普通は、2つまでしか選べない。そして、たいていの場合、「システムに予算が下りない」「顧客第一だから、ビジネスから柔軟性を捨てることはできない」という流れになり、「人間が頑張る」という結論になる。

ロジックがわかり、複雑さにも対応できる人間は、システムとビジネスの間に立つ優秀なインターフェイスだ。人間のやる仕事は、ミスしやすい環境下で複雑化していく。手を動かす人間には、楽になるとは限らない。

(888文字)