日本語を公用語としている、日本以外の地域
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日本の公用語は日本語、と思いきや、それを定めている法令はないらしい。そのため、「日本の『事実上の』公用語は日本語」という言い方が正しいようだ。
では、正式に日本語を公用語としているケースはないのかというと、実は、ある。パラオのアンガウル州では、公用語の1つに日本語が採用されている。これが唯一の事例らしい。
1914年に日本はパラオを占領し、1920年には国際連盟からパラオの委任統治が認められる。これにともない、現地人に対して日本語による学校教育が行われるようになる。日本からの移民と現地人への日本語教育の影響で、当時は多くの現地人が日本語を使っていた。1945年に日本による統治は終わるが、この時代に教育を受けた現地人の中には、今でも流暢な日本語を話す人が多いそうだ。
現地で使われる単語の中には、日本語の名残りが見られるものもある。扇風機のことを「センプウキ」、電話を「デンワ」という。これらは日本語そのままだ。飛行場を「スコウジョウ」、優しい・苦しいは「ヤサスィー、クルスィー」という。このように、若干変化しているものもある。
美味しいを「アジダイジョウブ」、混乱しているを「アタマグルグル」、ビールを飲むを「ツカレナオス」という。なぜか説明的だ。ブラジャーを「チチバンド」という。誰だ、こんな教え方をしたのは!
現在、パラオ高校(パラオ唯一の公立高校)では日本語が正規科目となっていて、観光科の学生は必須科目となっている。日本からの観光客が多いため、観光業への就職を目指す学生の多くは日本語を学んでいるそうだ。
「日本語は、パラオのアンガウル州の公用語の1つ」と書いたが、これは日本の委任統治の名残りだ。住人は百人程度しかおらず、日常的に日本語を用いる住民はいない。事実上の公用語としての機能は果たしていない。
【参考】
日本語 - Wikipedia
パラオ - Wikipedia
アンガウル州 - Wikipedia
パラオ基礎データ | 外務省(「略史」がある)
国際交流基金 - パラオ(2014年度)(「日本語教育の現状」がある)
パラオ語になっている日本語(上記以外の多くの例)