芸人は何度売れないとダメか
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「関西の芸人は、関西で売れて関東でも売れる必要があるから、2回売れないといけない」とダウンタウンの松本が昔言っていたが、細かく分けていけば実際にはもっと売れないといけないだろう。
漫才は素の状態のしゃべりに近いので、漫才の大会で優勝すればバラエティ番組でも売れやすい。しかし、コントの場合は設定があり、役を演じているので、素の状態とは異なる。そのため、バラエティ番組での活躍との相関は、漫才の場合よりも低くなる。コントの人は2度売れないといけないとバナナマンの設楽は言っていたが、素の状態のしゃべりで再挑戦する必要があるから、実際そうなのだろう。
2019年のキングオブコントでかが屋がやったネタは、SNS上で「わからなかった」と言われていた。確かに、時間軸が「店の閉店間際」「数時間前」を何度も行き来していて、特に説明がなかったので、難しかったのかもしれない。その一方、ド下ネタの超わかりやすいどぶろっくがウケて、優勝した。
2017年のM-1では、マヂカルラブリーが酷評されていた。その時に審査員だった博多華丸・大吉の大吉は「コンテストの準決勝に来てくれるお笑いマニアのお客さんと、会場に来てくれる本番の会場にいるお客さんは、まったく種類が違う」とラジオで言っていた。
また、ナイツの塙は、三四郎には期待してるけど、内輪ウケする話をしてライブでウケをとる癖がついてしまってるから本ネタが弱く、M-1で勝てないと言っていた。このことは、本の中でも書いていた。
これらのことからわかるのは、劇場に来るお笑い好きな人は、「ベタな内容だと笑わないぞ」「見たことのないひねったネタを見せてくれ」と思っていたり、身内にしかわからないネタでウケたりしていて、テレビの視聴者とはタイプが違うということ。劇場とテレビは、一続きじゃない。劇場で売れて、テレビでも売れる必要があるのかもしれない。
こうして見ていくと、芸人は何度だって売れないとダメ、という結論になる。ただ、「テレビで売れる」にこだわらないなら、いろんな場所が用意されている、とも言える。「テレビで売れる」にこだわると、修羅の道になりそう。