入試問題が簡単になっても、うれしいとは限らない
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僕が更新してる数学サイトでは、毎年、東大と京大の入試問題の解説を載せています。今年度の問題は以下のページにまとめてあります。
解説を書くために毎年解いているのですが、最近の京大数学は、だいぶ解きやすくなっているように感じます。理系の場合、毎年6問出題されるのですが、今年の問題は、はじめの4問はやさしめかふつうくらい、後半の2問はむずかしめ、という構成でした。特に、最後の問題はかなり勉強してないと解けないレベルです。一方、昔はむずかしめの問題の比率がもっと高かったと思います。
問題がやさしくなったと聞くと、受験生にとってはうれしいように感じるかもしれませんが、実はそうとも限りません。
数学が得意な人は、数学で他の受験生に大きく差をつけたいと思っているはずです。なのに、むずかしい問題が少ないと、あまり差がつけられません。それに、他のむずかしくない問題は、絶対に解けないといけないし、計算ミスも許されません。難問を考える時間を確保するために、速く解くことも求められます。なかなかプレッシャーがあります。
それに、難問を解けるように勉強をしても、差がつくのは1問か2問だけ。なんだかうまみが少ないです。むずかしい問題を解けるようになる労力と、実際に解ける確率を考えると、効率が悪いなと感じる人もいるかもしれません。
数学が苦手な人にとっても大変です。ほとんどの人が解けないなら、数学を捨てるという作戦もあるかもしれません。しかし、ほとんどの人が4問解けてしまうなら、自分もそのレベルになっていないといけません。でないと、数学で大きく差がつけられてしまい、他の科目でかなり挽回しないといけなくなります。
難問が多かったころは、点数は多くの人が下の方に固まっていて、数人だけが飛びぬけている、という分布だったと思います。最近は、点数は中央に固まっていて、上下にポツポツ分布しているという感じじゃないかなと思います。
本音を言えば、自分にとっては簡単で、他の人にとっては難しい、という問題が出ればうれしいんでしょうけど、まぁそううまくはいかないんですよね。