なかけんのFP3級ノート
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金融派生商品

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金融派生商品

金融派生商品 とは、株や債券などの基本的な金融商品から派生した金融商品 のことです。といっても、これだけではよくわからないですね。

例えば、普通の株の売買では、「〇〇会社の株式を△△株買う」のような取引を行います。一方、金融派生商品の取引では、「〇〇会社の株式を1年後に◇◇円で買える権利を買う」のような取引を行います。この権利を買った人は、株価が上がっていれば、権利を行使して安く買うことができますし、株価が上がっていなければ権利を放棄できます。

このように、直接その金融商品を売買するのではなく、それらから派生してできた金融商品のことを、金融派生商品といいます。

金融派生商品は、英語で デリバティブ といいます。

金融派生商品には様々な商品があり、商品内容も複雑なものが多いですが、FP3級の試験で出題されるものはかなり限定された内容だけとなります。実際に個人で資金運用する場合も、金融派生商品を使うことはそれほど多くなく、資産運用のメインにはなりません。

先物取引

先物取引 とは、将来の売買について、現時点で約束する取引 のことです。現時点では、いつ、何を、どれだけの量、いくらで売買するか を決めておきます。そして、約束した日に、その条件で売買を行います。

例として「Aさんが、来年のGWのハワイ旅行ツアーに行こうとしている」ケースを考えてみましょう。こんな先物取引は実際にはないですが、先物取引を理解するために役立ちます。

Aさんは、ハワイ旅行に向けて、今のうちから頑張って貯金をしています。しかし、ひょっとすると、ツアー料金がかなり値上がりして、貯金額では足りないかもしれません。

そこで、今の時点で「来年のGWのハワイ旅行ツアーを、〇〇円で買う」という取引ができればうれしいですね。このような取引ができれば、想定以上にツアー料金が値上がりしていても、ハワイ旅行に行けます。もちろん、値上がりしていなければ、その分は損してしまいます。

一方、旅行会社側からすると、来年のGWのハワイ旅行ツアーの売れ行きが良くなく、値下げをしないといけないリスクがあります。今の時点で売れるなら、そうした値下げリスクを回避することができます。もちろん、値上がりしていれば、その分は損してしまいます。

この考え方は、先物取引 でも同様です。将来の売買について今約束することで、将来の価格変動リスクを抑える ことができます。想定外の損が抑えられる一方、得られたはずの利益が得られなくなってしまう可能性はあります。

オプション取引

オプション取引 とは、買う権利や売る権利を売買する取引 のことです。

先ほどの、ハワイ旅行ツアーの例を再び使いましょう。

Aさんは来年のGWのハワイ旅行ツアーに行きたいと思っていますが、想定以上に値上がりすると困ってしまうのでした。そこで、今の時点で買う約束をすることができれば、このリスクを回避できます。しかし、この約束をすると、逆に値下がりしたときに、無駄に高い値段で買ってしまうことにもなります。

そこで、「値上がりしていれば〇〇円で買い、値上がりしていなければ買わない」とできればいいですね。もちろん、タダでこんな条件をのんでくれる人はいないので、その分、手数料を払う必要があるでしょう。

このように、「将来のある時点で、特定の商品を、ある価格で売買する権利」のことを オプション(option) といいます。オプションを買った人は手数料を払う代わりに、「約束した値段で売買したいときはする、したくないときはしない」という選択をすることができます。一方、オプションを売った人は、買った人の選択した通りに売買する義務があります。

オプションのうち、「買う権利」のことを コールオプション(call option)、「売る権利」のことを プットオプション(put option)といいます。また、オプションを買ったときに払う手数料のことを、プレミアムといいます。

例えば、「1か月後に、ある株を100円で買う権利(コールオプション)」を買った人は、その株が1か月後に300円になっていても、100円で買うことができます。オプションを売った人は、必ずそれに応じないといけません。一方、1か月後に株価が50円になっていた場合、権利を放棄するほうがいいので、何も起こりません。コールオプションを買った人は、最初のプレミアム分だけのコストを払うだけで済みます。

また、「1か月後に、ある株を100円で売る権利(プットオプション)」を買った人は、その株が1か月後に70円になっていても、100円で売ることができます。一方、1か月後に株価が150円になっていた場合は、権利を放棄するほうがいいので、何も起こりません。

スワップ取引

スワップ取引 とは、一定期間にわたり、お金の流れを交換する取引 のことです。スワップ取引はたくさんの種類にわかれますが、以下では、金利スワップについて、説明します。

金利スワップ は、固定金利と変動金利を交換する取引です。

例えば、Aさんが固定金利でお金を借りていたとします。しかし、途中で「金利がどんどん下がっていきそうだから、変動金利に変えたいな」と思ったとしましょう。しかし、貸し手に頼んでも、途中で変えてくれるとは限りません。

そこで、この「固定金利と変動金利を交換する」金利スワップが役立ちます。「金利が今後上がっていきそう」と考えているBさんがいて、AさんとBさんが金利スワップの取引をしたとしましょう。

Aさんは「固定金利の利息をBさんから受け取って、Bさんに変動金利の利息を払う」取引をします。Bさんはその逆です。こうすると、Aさんは、トータルで見ると変動金利の利息を払うことになるので、実質的に「変動金利でお金を借りている」のと同じことになります。