なかけんのFP3級ノート
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ポートフォリオ運用

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分散投資

ここまで、いろいろな金融商品について見てきました。投資をする場合は、この中のどれか1つだけを選ぶのではなく、通常は複数に分散して投資します。このことを、分散投資 といいます。

例えば、ある自動車会社が好きだからといって、その株に運用資金全額を投資するのは危険すぎるでしょう。その会社から画期的な新商品が出たりすれば大儲けできる可能性がありますが、もしその会社で「不正があった」などのニュースが出てしまえば、株価が急落し、大きな損害が発生してしまうかもしれません。

そこで、違う自動車会社の株にも投資してみましょう。1社だけに関する特殊な変動要因は除外されるので、大損の可能性は下がります。ただ、自動車業界を揺るがすニュースが出れば、やはり大損が出てしまう可能性はあります。例えば、自動車のメイン部品の物流が止まってしまえば、複数の自動車会社に分散して投資をしていたとしても、大きな損が出てしまうでしょう。

さらに違う業界の株にも投資してみましょう。例えば、食品、アパレル、金融などなど。互いに関連性が低い業界を選べば、「持っている銘柄すべてで損が発生する」可能性は低くなるでしょう。

さらにさらに、株だけでなく、債券など他の金融商品を入れてみるのもいいでしょう。はじめからこれらを含んでいる投資信託を選ぶのもいいです。また、日本だけでなく、海外の株・債券を入れれば、「日本全体に関する悪いニュース」が出ても、「すべての金融商品で損が発生する」可能性は低くなるでしょう。

このように、値動きが異なる複数の商品に投資することで、損益が変動するリスクを抑えられるようになります。分散投資は、資産運用の基本となっています。

相関係数

ここまでの内容からもわかる通り、投資先は、単に数を増やせばいいわけではなく、「値動きの関連性」に着目して選ぶ必要があります。同じような値動きをする商品を増やしても、分散している効果はあまり得られません。

このような、関連性を表す指標として、相関係数 というものがあります。相関係数は、 -1 から 1 までの値をとり、それぞれの値は次のような意味を持ちます。

相関係数が 1
価格は完全に同じ方向に動く。
リスクの低減効果・分散投資の効果はない。
相関係数が 0
価格は関係のない動きをする
相関係数が -1
価格は完全に反対の方向に動く。
リスクの低減効果・分散投資の効果が最大。

例えば、相関係数が 0.5 くらいであれば、「完全に同じではないが、似たような動きをする」という解釈になります。

資産配分

資産運用をする場合には、1つに集中するのではなく、分散して投資したほうがいいことを見ました。

一般に、投資をするときには、いきなり個々の金融商品を選び始めるのではなく、まず、大まかな資産カテゴリー(「資産クラス」といいます)を選び、そこへの配分を決めることが多いです。

この「どの資産クラスにどれくらいの資金を投資するか」という配分のことを、資産配分 といい、英語では、アセットアロケーション といいます。アセットは資産、アロケーションは配分という意味です。


通常、複数の商品に分散して投資をすることで、リスク(価格の振れ)リターン(得られる収益)がどうなるかを考えながら、運用方法を決めていきます。

例えば、リターンを追い求めるよりも、リスクを抑えることを優先したい、というケースは多いでしょう。老後のための資金や住宅ローンの頭金用の資金といった、資金の目的と大まかな必要額が決まっている場合などです。この場合には、「大半を国内債券にして、残りを国内株式などにする」などのアロケーションが考えられます。間違っても、全額FXに投資するのはダメです。リスクが高すぎます。

一方、リスク・リターンは抑えつつ、ある程度のリターンが欲しいという場合は、「半分程度を国内債券、残りの半分を国内株式、残りを海外債券や海外株式にする」といったアロケーションが考えられるでしょう。

もっと、リターンが欲しい場合は、リスクは高まりますが、例えば、国内債券の比率を大幅に下げ、先進国の株式などの比率を上げるアロケーションが考えられます。

「こういうアロケーションにしなければならない」ということはなく、リスク・リターンや、今後の相場見通しなどを踏まえて考えていきます。

また、一度に全部投資する必要はありません。少しずつ買っていくことで、時間の分散効果も得られます。

アロケーションは一度決めたら終わりというわけではありません。運用成績やライフプランの変更などに応じて、定期的にアロケーションを見直していくことになります。

ポートフォリオ

資産クラスにどの程度配分をするかを決めた後は、それぞれの資産クラスで個別の商品を選んでいきます。

このように、運用対象として、複数の金融商品を組み合わせたものを ポートフォリオ といいます。

ポートフォリオを組んで複数の金融商品に投資することを、ポートフォリオ運用 といいます。

問題を解いてみましょう

ここまでの内容を踏まえて、問題を解いてみましょう。〇か×か、答えましょう。

例題

ほとんど逆の値動きをする2つの資産がある場合、これらの資産の相関係数は限りなくゼロに近くなる。

Answer

×
ほとんど逆の値動きをする場合は、相関係数は -1 に近い値になります。

例題

2つの異なる資産に分散した場合、これらの資産の相関係数が 1 に近いほど、ポートフォリオのリスクは低くなる。

Answer

×
相関係数が 1 に近いと、2つの資産はほぼ同じように動くので、片方が損をするとき、もう片方も損をしやすくなります。リスクを減らす効果はほとんどなく、リスクは低くなりません。