なかけんのFP3級ノート
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金融商品と税金

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ここでは、各金融商品にかかる税金について見ていきます。また、一般NISA(小額投資非課税制度)などについても見ていきます。

金融商品別の所得区分

金融商品を売買すると、利子、配当金、売却益などが発生することがあります。これらには、所得税などの税金がかかります。

所得税は、別のページで詳しく見ていきますが、ここでは金融商品に関する部分について、概略を見ておきます。

まず、所得とは、収入(実際に入ってきたお金)から必要経費を引いたものです。例えば、1000円の株を100株買って、同年中に1200円で売ったとすると、

1,200 x 100 - 1,000 x 100 = 20,000円

が所得となります。

所得税を計算するとき、何から発生した所得かによって、10種類に分けます。金融商品の取引では、次のような所得に分類されます。

  • 預貯金:利子所得
  • 債券:利子所得、譲渡所得
  • 株:配当所得、譲渡所得
  • 投資信託:利子所得、配当所得、譲渡所得

所得税は、所得をすべて合算して税率を掛けて税額を求める 総合課税 が原則ですが、一部の所得は、他の所得と分けて課税する 分離課税 のものがあります。個別に申告する 申告分離課税 があります。

また、一部の所得では、損失が発生している所得と利益が出ている所得とを相殺できる 損益通算 という制度があります。

以下では、それぞれの商品について、税金がどのように計算されるかを見ていきます。

預貯金と税金

預貯金の利子は、利子所得として課税されます。

所得税が15%、復興特別所得税(2013年から2037年まで)が0.315%、住民税が5%で、合計20.315% かかります。

利子を受け取るときには、すでに税金が引かれており、実質的に納税が完了しています。このような課税方法を 源泉分離課税 といいます。源泉分離課税の場合、申告は不要です。

債券と税金

債券の場合、次のような損益などが発生します。

  • 利子
    • 1年間で、額面 x 年利率 の金額を受け取る
  • 売却損益
    • 売った値段と買った値段の差から発生する損益
  • 償還差益・償還差損
    • 償還時に受け取る額面金額と買った値段の差から発生する損益

それぞれ、以下のような税金がかかります。

債券の利子にかかる税金

債券の利子は、利子所得として課税されます。預貯金の場合と同じです。

所得税が15%、復興特別所得税(2013年から2037年まで)が0.315%、住民税が5%で、合計20.315% かかります。

利子を受け取るときには、すでに税金が引かれており、申告は不要です。

ただし、特定公社債等(国債や地方債など)の場合は、申告分離課税 を選択して、上場株式等の譲渡損失と損益通算をすることが可能です。

債券の売却益や償還差益にかかる税金

債券の売却益や償還差益は、譲渡所得として課税されます。

所得税が15%、復興特別所得税が0.315%、住民税が5%で、合計20.315% かかります。税率は利子所得のときと同じです。

申告分離課税の対象です。

特定公社債(国債や地方債など)の場合、売却益や償還差益は「上場株式等の譲渡所得等」に含まれ、他の上場株式等の譲渡損益との損益通算ができます。

債券の売却損や償還差損について

債券の売却損や償還差損には、税金はかかりません。

しかし、申告分離課税を選択した上場株式等の分配金や譲渡損失と損益通算ができます。

上場株式等と税金

上場株式、上場投資信託(ETF)等の場合、次のような損益などが発生します。

  • 配当
  • 売却損益
    • 売った値段と買った値段の差から発生する損益

それぞれ、以下のような税金がかかります。

上場株式等の配当にかかる税金

上場株式等の配当は、配当所得として課税されます。

配当が支払われる時点で、20.315%(所得税が15%、復興特別所得税が0.315%、住民税が5%)が源泉徴収されています。

原則として、配当所得は総合課税です。しかし、申告不要制度や申告分離課税を選択することができます。

総合課税を選択すると、配当控除を受けることができます。

申告不要制度を選択すると、源泉徴収の時点で課税関係は終了します。

申告分離課税を選択すると、上場株式等の譲渡損益との 損益通算 が可能となります。

上場株式等の売却益にかかる税金

上場株式等の売却益は、譲渡所得として課税されます。

申告分離課税で、税率は、20.315%(所得税が15%、復興特別所得税が0.315%、住民税が5%)です。

譲渡損失がある場合は、申告分離課税を選択した株式等の配当所得と損益通算ができます。

また、損益通算しきれなかった損失がある場合は、翌年以降3年間にわたって損失を繰越控除(翌年以降の譲渡益と損益通算すること)できます。

特定口座

譲渡所得等の計算は自分で行う必要がありますが、この計算を証券会社が代わりに行ってくれる 特定口座 という制度があります。

特定口座は、1金融機関につき1人1口座作ることができます。

特定口座は、さらに「源泉徴収あり」と「源泉徴収なし」を選ぶことができます。「源泉徴収あり」の特別口座を作ると、税金の計算だけでなく、納税も行ってくれます。「源泉徴収なし」の特別口座は、税金の計算はやってくれますが、納税自体は自分で行う必要があります。

特定口座ではない、普通の口座は一般口座といいます。一般口座を使う場合は、自分で税金を計算し、自分で納税を行います。

投資信託と税金

投資信託の場合、次のような損益などが発生します。

  • 分配金
  • 売却損益

どのように課税されるかは、公社債投資信託(株式を含まない)と株式投資信託(株式を含んでもよい)で異なります。

公社債投資信託と税金

公社債投資信託の税制は、公社債の税制と同じです。

分配金は、利子とみなして、利子所得として課税されます。税率は 20.315% です。源泉徴収されます。

売却益は、譲渡所得として課税されます。申告分離課税で、税率は 20.315% です。

株式投資信託の普通分配金と特別分配金

株式投資信託の税制について見る前に、分配金について見ておきましょう。

分配金とは、運用結果の一部を配当として定期的に還元するものです。このとき、還元した分だけ、基準価額はさがります。

例えば、当初1万円だった基準価額が、運用によって1万1,000円になったとします。このうち、300円分を分配金として出したとすると、分配後の基準価額は1万700円となります。

場合によっては、分配金が多く、当初買った金額を下回ることがあります。

例えば、購入当初1万900円だった基準価額が、運用によって1万1,000円になったとします。このうち、300円分を分配金として出したとすると、分配後の基準価額は1万700円となり、買ったときより下がってしまいます。

このケースでは、分配金300円のうち、200円部分(1万900円 - 1万700円)は、元本がただ返ってきているだけで、別に儲けではありません。そのため、ここに課税するのはおかしいでしょう。

このことから、分配金は課税される部分と課税されない部分にわかれます。もし、分配後の基準価額が購入時の基準価額より低い場合、その差額を 特別分配金(元本払戻金) といい、課税されません。残りの部分は、普通分配金 といい、これは儲けだと考えられるので、課税されます。

株式投資信託と税金

株式投資信託の税制は、株の税制とほぼ同じです。

分配金は、普通分配金と特別分配金に分かれます。このうち、特別分配金は課税されませんが、普通分配金は配当所得して課税されます。税率は 20.315% です。

総合課税ですが、申告不要制度や申告分離課税を選択できるのは、株の場合と同様です。

譲渡益は、譲渡所得として課税されます。申告分離課税で、税率は、20.315%です。

NISA(少額投資非課税制度)

日本は、他国と比べて、金融資産に占める預金の割合が高くなっています。これを株式投資などにシフトさせるため、少額の投資を促す、NISAという枠組みができました。

NISA(少額投資非課税制度)とは、一定金額まで、売買益や配当に対する税金がなくなる(非課税になる)という制度です。イギリスの個人貯蓄口座(Individual Saving Account、略して ISA)を参考に作られた制度で、NISAの名前は、日本版ISA(Nippon ISA)に由来しています。

NISAには、一般NISA、つみたてNISA、ジュニアNISA といった種類があります。なお、一般NISAとつみたてNISAは片方だけしか選べません。また、ジュニアNISAは未成年しか契約できません。

一般NISA

一般NISAの制度の内容を見ていきましょう。

対象者は、20歳以上で日本に住んでいる個人です。

口座は、1人1口座です。金融機関は1年単位で変えることができます。

対象の金融商品は、上場株式、株式投資信託、ETF、J-REITです。国債や公社債投資信託は対象外となっています。

この商品に対し、新規投資額の年間120万円以内が非課税投資枠となります。非課税期間は最長5年なので、毎年、枠を使い切るとすると、非課税投資枠は最大で600万円となります。

購入から5年間の分配金や売却益が非課税となります。

つみたてNISA

つみたてNISAは、名前の通り、積み立てで運用することを想定しています。

対象者は、20歳以上で日本に住んでいる個人です。

口座は、1人1口座です。一般NISAかつみたてNISAのどちらか片方しか選べません。

対象の金融商品は、株式投資信託、ETFです。株式、国債、公社債投資信託は対象外となっています。

非課税額は年間40万円以内で、非課税期間は最大20年です。そのため、非課税投資枠は、最大で800万円となります。

ジュニアNISA

ジュニアNISA(未成年小額投資非課税制度)は、主に親が子供名義で大学入学費を作ることを想定しています。

未成年が対象で、非課税額は年間80万円以内で、非課税期間は最長5年です。