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不動産の証券化

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ここでは、小口の資金で不動産投資が行えるようになる不動産証券化について見ていきます。FP3級の試験にはあまり出題されない内容です。

不動産の証券化

例えば、「これから、不動産の価格が上がっていきそうだから、不動産に投資をしたい」と考えたとしましょう。しかし、「不動産を買って上がるまで待ってから売る」のは大変です。多額の資金が必要ですし、もし下がってしまったときには損失の額も大きくなります。

そこで、複数の投資家から資金を集め、その資金で不動産を買い、そこで得られた収益を投資家に分配する、という方法ができるといいですね。このときに 不動産の証券化 という手法がよく使われます。

不動産の証券化 とは、不動産の所有権などの権利を分割し、証券の形にして市場に流通させること です。投資家は、小口の資金で不動産に投資できるようになるというメリットがあります。

不動産の証券化は、大きく分けると、資産流動化型資産運用型 の2つに分かれます。


資産流動化型 は、特定の不動産のみを証券化する方法です。

ある不動産を持っている企業が、特定目的会社(Special Purpose Company、略して SPC という)などに対してその不動産を譲渡し、SPCはその不動産から生み出される収益を裏付けとする証券を発行します。そして、投資家たちがこの証券に投資する、という流れです。

SPCには、賃貸テナント料などの収益が入るので、それを投資家たちに還元します。投資家は、この分配金や、証券の売買益を狙うことになります。

実質的には、特定の不動産を、投資家たちが分割して保有しているのと同じ形になります。資産の流動化に関する法律(資産流動化法)という法律に基づいた仕組みです。


もう一つの 資産運用型 は、複数の投資家から資金を集め、いろいろな不動産に投資して運用し、その運用収益を投資家に分配する仕組みです。

この方法では、投資対象の不動産は複数の可能性もありますし、入れ替えも起こります。

この形式の商品の一つに、J-REIT があります。REIT とは、「Real Estate Investment Trust」の略で、日本語に訳すと「不動産投資信託」です。頭の J は、もちろん、Japan のことです。

J-REIT は投資信託ですが、証券取引所に上場しており、流動性が高く、売買を自由に行うことができます。自己資金で不動産を購入するよりも、投資しやすくなっています。

不動産の投資判断に用いる指標

不動産の投資を行う上で、投資判断に用いる様々な指標について見ていきましょう。

DCF法

DCF法 とは、将来の収入を現在価値で割り引いて、現在の理論価格を計算する方法です。DCFは、discounted cash flowの略で、割引キャッシュフローのことです。

将来の純利益と将来の不動産売却価格とに、割引率(ライフプランニングの考え方・手法 の「現価係数」と同じ)を掛けて現在価値に割り戻し、合計して算出します。

NPV法

NPV法 とは、将来の予想収入から計算した現在価値と初期投資額とを比べて投資判断を行う方法です。NPVは、Net Present Value の略で、正味の現在価値のことです。

初期投資額のほうが小さければ、「割安」ということなので、投資には有利だと考えられます。

なお、現在価値を計算するときには、DCF法を使います。

IRR法

IRR法 とは、不動産に投資した資金の収益率に注目して投資判断を行う方法です。IRRとは、Internal Rate of Return のことで、内部収益率といいます。

将来の予想収入と初期投資額とが釣り合うと仮定して、不動産に投資した資金が何%で運用されることになるかを計算します。これが期待収益率より高いかどうかで投資するかどうかを決めます。

内部収益率が期待収益率より高ければ、投資には有利だと考えられます。

一般的には手計算で行うのは難しく、エクセルなどを用いて計算することになります。

問題を解いてみましょう

ここまでの内容を踏まえて、問題を解いてみましょう。〇か×かを答える問題です。

例題

NPV法による投資判断では、投資不動産から得られる収益の現在価値の合計額が投資額の現在価値の合計額を上回っている場合、投資価値があると判断できる。

Answer


適切な文章です。

例題

IRR法による投資判断では、投資家の期待収益率が内部収益率を上回っている場合、その投資は有利であると判断できる。

Answer

×
期待収益率のほうが内部収益率より高いことは、期待ほど収益が出ないということなので、有利とは判断できません。