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不動産の取得・保有にかかる税金

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不動産に関しては、さまざまな税金がかかります。ここでは、取得した時にかかる税金と、保有しているときにかかる税金の2種類についてみていきます。

不動産の取得に係る税金

不動産取得税

不動産を取得したときには、不動産取得税 がかかります。都道府県が課税する、地方税です。

不動産をタダでもらったり、別の不動産と交換したりして、お金のやり取りが発生していなくても、不動産を新しく取得したことにはかわりないので、課税されます。また、もともと持っていた土地に新しく建物を建てたり、今ある建物を増改築したときも、不動産を取得したことになり、課税されます。

なお、相続して不動産を取得した場合は、課税対象外です。

不動産取得税の計算方法

不動産取得税は、土地と建物それぞれに対して、次の計算式で税額を計算します。

不動産取得税の計算式

不動産取得税 = 取得した不動産の価格(課税標準額)x 税率

取得した不動産の価格には、固定資産税評価額を使います。実際の取引価格は関係ありません

特例として、2024年3月末までに取得した宅地の課税標準額は、固定資産税評価額の2分の1となります。

税率は、原則 4% です。しかし、特例として、2024年3月末までに取得した場合、土地は3%、住宅用の建物は3% になります。

また、新築住宅(ただし、50平米から240平米までのもの)については、課税評価額から1,200万円(長期優良住宅なら1,300万円)を控除することができます。自宅の場合も、貸家の場合も対象となります。

中古住宅(ただし、50平米から240平米までのもの)は、築年数に応じて、100万円から1,200万円が控除されます。中古住宅の場合は、自宅の場合だけが控除対象で、貸家は控除の対象外です。

登録免許税

不動産を取得すると登記を行いますが、この登記について課税されます。これを 登録免許税 といいます。登録免許税は、国税です。

不動産取得税とは異なり、登録免許税は、相続によって取得した場合も課税されます

登記をする人が、納税義務者です。所有権の移転の場合、買主と売主、両方が納税義務者となります。通常は、買主が負担します。

登録免許税の計算方法

登記する内容によって、登録免許税の計算は異なってきます。ここでは、住宅(建物のみ)の場合を見ておきます。

所有権保存登記(新しく購入した場合)は、固定資産税評価額に税率 0.4% を掛けたものが税額です。ただし、一定の条件(床面積が50平米以上など)を満たせば税率は 0.15% になります。

所有権移転登記(売買した場合)は、固定資産税評価額に税率 2.0% を掛けたものが税額です。ただし、一定の条件を満たせば税率は 0.3% になります。

抵当権設定登記(住宅ローンなどで抵当権を設定した場合)は、債権金額(借入額のこと)に税率 0.4% を掛けたものが税額です。ただし、一定の条件を満たせば税率は 0.1% になります。

印紙税

不動産の契約書を作成すると、印紙税 がかかります。不動産の売買契約書に対して印紙税がかかり、住宅ローンを組む時にはその契約書(金銭消費貸借契約書)に対しても印紙税がかかります。建物の賃貸借契約書には課税されません。

課税標準額は、契約書に書かれている金額です。この金額に応じて、税率が変わってきます。

契約書に、印紙税分の収入印紙を貼ることで、納付したことになります。

通常、契約書を2通作って、両者が1通ずつ持つので、印紙税は半分ずつ負担することになります。

契約書に収入印紙を貼っていない場合は、過怠税が課せられますが、契約自体は有効のままです。

消費税

不動産の売買には、消費税がかかるものがあります。

個人の行う不動産取引では、基本的に土地の取引(売買や貸付)には消費税はかかりません。例外として、1か月未満の短期貸付には消費税が課税されます。

建物の取引の場合は、売主が課税事業者なら消費税がかかりますが、個人から買う場合は課税されません。また、自宅の貸し付けによって受け取った家賃も課税されません。

不動産の保有に係る税金

不動産を保有すると、固定資産税と都市計画税がかかります。どちらも1月1日時点での保有者に課税されるため、保有した翌年以降、毎年課税されることになります。

固定資産税

不動産を保有すると、固定資産税がかかります。1月1日時点で、土地や建物を所有している場合、固定資産の価格に応じて課税されます。地方税です。

税額は、固定資産税評価額(標準課税)に税率を掛けた金額です。税率は、原則1.4%(市町村によって異なる)です。

実務上は、例えば不動産を3月末で売買した場合、売主は3ヵ月しか保有していないのに、12ヶ月分の固定資産税を払ったことになります。そのため、この固定資産税を買主と按分する(この例であれば、固定資産税9か月分を買主が売り主に払う)のが一般的です。


固定資産税にも、標準課税の特例があります。

小規模住宅用地(住宅1戸につき200平米以下の部分)の場合、課税標準が 6分の1倍になります。

一般住宅用地(住宅1戸につき200平米超の部分)の場合、課税標準が 3分の1倍になります。

都市計画税

都市計画税 は、都市計画などに要する費用に充てるために、目的税として課税されるものです。市町村が課税する地方税です。

都市計画法による都市計画区域のうち、市街化区域にある土地と建物が対象です。1月1日時点での不動産の所有者に課税されるため、取得した翌年から課税されることになります。

土地の場合、固定資産の課税標準は、小規模住宅用地の場合は価格の3分の1、他の住宅用地は3分の2となります。建物は固定資産税評価額そのままです。

税率は、最大0.3%です。市町村によって、0.3%以内の範囲で決めることができます。